vol.14 再訪 野坂昭如 第10回「未練なし」
寂聴と夫人のやりとりを聞いてなんだか野坂昭如は笑いを堪えるような顔を浮かべた。夫人の顔を見ると野坂の顔に似ていた。二...
vol.13 再訪 野坂昭如 第9回「風狂への憧れ」
小説家は果たしてどのように生きるのか、寂庵には榊莫山による「風狂」と書かれた書が客間に飾ってある。"風狂"とは、風雅...
vol.12 再訪 野坂昭如 第8回「私が恐い?」
瀬戸内寂聴は隅の方でスケッチをしている黒田征太郎を見つけると、手招きして「ここに座って」と促すように言った。「何を描...
vol.11 再訪 野坂昭如 第7回「安吾への追慕」
2012年度の坂口安吾賞を荒木経惟が受賞した知らせは新しく、奇しくも瀬戸内寂聴、野坂昭如と断続的に続くものとなった。...
vol.10 再訪 野坂昭如 第6回「泉鏡花をめぐる」
長い闘病から立ち直った時に寂聴にある知らせが飛び込んできた。短篇集『風景』で2011年度の第39回泉鏡花文学賞を受賞...
vol.09 再訪 野坂昭如 第5回「寡黙な人」
応接間に戻り、寂聴がうれしそうに言葉を続けた。表情を変えず野坂は寂聴と正対するように位置する。寡黙な野坂を気遣ってか...
vol.08 再訪 野坂昭如 第4回「寂聴の訪問」
応接間では野坂は椅子に座していた。アールデコを模したインテリアには様々な絵のコレクションが立てかけられ、色とりどりの...
vol.07 再訪 野坂昭如 第3回「荒木経惟と黒田征太郎の想い」
2011年12月10日の晴れた午後、永福町の野坂昭如邸に荒木経惟、黒田征太郎が向かった。 「今は温かいけれど、すぐに...
vol.06 再訪 野坂昭如 第2回「ある晴れた日、野坂昭如に会いに行く」
「行きましょう」 ふと黒田征太郎が呟いた。2011年5月、門司港のマンションのベランダから遠く関門海峡に行き交う船を...
vol.05 再訪 野坂昭如 第1回「沖縄へ行こう」
「沖縄に行けるといいですね」 何度か野坂昭如邸に通うと夫人がぼそっと独り言のように呟いた。「また行けるといい」 野...
vol.04 童話「月森の使者」
1 退屈で優雅な時間、例えばいつまでもここにいたいと思うほどのぜいたくな時間は月日においてそう何度もあるわけではない。...
vol.03 オレンジ色の月は今日はどこに出ている
岐阜県串原村に住む友人の桝本進さんから句集『オレンジ色の月』が送られてきた。句の作者は進さんの御母にあたる桝本華子さん...
vol.02 人を待つ
港で人を待つ。誰かと会うためにただ待つことを願う。4月17日から10日間、神戸にいます。 Q2の会場にアラスカ、極北...
vol.01 黒田征太郎に続け
昨年末にCoyoteの休刊を告知してから、さまざまな反響をいただきました。お便り、メール、目を通させていただきました。...