シシュマレフ校の子供たち
わたしにオーロラの輝きを!

朝から粉雪の舞う、気温の低い日だった。学校の役員をしているクリフォード・ウェイオワナが電話を一本入れ、取材の了解をとりつけてくれた。娘のティナも学校の食堂のコックとして働いている。

イヌピアック・エスキモーの村であったシシュマレフには、白人もふくめ、外から入ってきた人々が増えている。そのようななかでどのように伝統文化を継承してゆくか。
授業では伝統的なイヌピアック・エスキモーのことばと文化を学ぶ時間が設けられている。セイウチの牙やクジラのヒゲなどを使った伝統的な工芸品を学ぶ時間も用意されている。クリフォードの家の棚にも、子どもたちのつくったものが並べて飾ってあった。
アラスカ本土でも、シシュマレフ村でつくられたものの評価はもともと高いようだ(アラスカ大学の博物館ミュージアムショップで販売されている工芸品を見ると、シシュマレフでつくられたものが少なくなかった。小さなものでも、数万円するものがある)。

工芸品の授業には、毛皮など材料の下準備やサポートのため、村の人々もボランティアで参加している。
シシュマレフ学校に掲げられている標語。
「Norhern lights shine on me!」
わたしにオーロラの輝きを!

シシュマレフ島のイヌピアット・エスキモーのことばを学ぶ授業もあり、狩猟に使われる道具や使い方の説明も、担当の先生の手書きの図解入りで、エスキモーの言葉で伝えている。狩猟に一緒にでかける機会は以前より増えている。教育が未来への後押しになっていると感じた。

発売中『Coyote』第53号より