デール・ホープの生き方
Spirit of the Islands

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text by Imai Eiichi
photography by Hideaki Sato

テキスタイルの職人だったデールの父親は米軍退役後、ホノルルで布地を販売する小さな会社を興した。ニューヨーク生まれの母親は結婚前、レーヨン関連の仕事に携わっていた。
経営状況は厳しかった。少年だったデールはサーフィン通いをやめ、毎日両親の仕事を手伝ったが、結局両親は家を売り、彼は大学進学の夢をあきらめなければならなかった。
だがデールの目には、船で届けられる日本からの布地の鮮やかな色彩、絵柄、独特の風合いが、実に魅力的に映っていた。そしてある日彼は、自分でアロハシャツを作って売るようになる。
1974年、21歳のデールは自らのブランドを立ち上げた。ブランド名は、敬愛する父親ハワード・ロバート・ホープの頭文字をとって「HRH」。父親は息子デールに、こうアドバイスした。「シャツのビジネスをするなら、プリントが大切だ。アートを描きなさい」
デールは絵画やデザインを独学し、自らリサーチを重ねた。
その後デールは、一大ブランド「ローカル・モーション」のライセンス生産、「ハワイアン・スタイル」の成功を経て、「カハラ」ブランドの大成功を成し遂げる。アロハシャツのデザイナーとしてデールは、ハワイはもちろん、米国本土でもその名を知られていった。
ハワイの美しい自然に育まれたデールには、愛する島々のディテールを表現したい、という想いがあった。彼はこう語る。
「自然の美しさはもちろん、風や波、香りを表現したかった。私にとってアロハシャツとは、ハワイの心、島々の精神を表すものなんだ」


Dale Hope デール・ホープ サーファー、モロカイ−オアフ・カヌーレースのチャンピオン。ハワイで生まれ育った生粋のウォーターマン。10代からハワイのアパレル業界に深く関わり、テキスタイル・デザイナーに。ヴィンテージ・アロハシャツのコレクターであり、アロハ・シャツの権威。「Pataloha(パタロハ)」のデザインに携わった。