Photographer’s Appetite/写真家たちのおかえりごはん

その2<野菜炒め>
文と写真 川内倫子

 仕事柄、とにかく移動が多い。去年都内で引っ越しをして事務所も自宅も快適な環境になったので、できれば事務所と自宅を往復するようなシンプルな暮らしを楽しみたいのだけれど、現実は毎月のように海外出張、国内出張がつづく日々だ。
海外では食事を選べないこともあるのでだいたい胃が疲れている。帰りの飛行機ではいつも機内食に箸が進まず、おなかを空かして到着。空港から自宅までのあいだの車中では帰ってからなにを食べようか、と思案する。とにかく野菜が不足しているから野菜炒めとごはん、納豆があってもいいな、途中で買って帰ろうか、それとも温泉たまごをごはんにのっけてしょうゆをかけたものだけでもいい。いや、とにかく出汁が飲みたいかな、などなど思いつくのはとにかくシンプルなメニューばかり。海外から戻るとお寿司でしょ、という人もいるし、たまにはそんな気分にもなるけど、とにかく地味な食事希望なのは年齢のせいか。