KINFOLKを訪ねて ポートランドへ。

無理をしない自然体で、率直かつ丁寧で、あまり多くを語りすぎない。このありようは、そのまま、ネイサンとケイティ、そして彼らが率いる編集部を表す形容詞でもある。一軒家に手を加えた彼らの編集部があるのは、ポートランドの中央を流れるウィラメット川の東。ダウンタウンのある西側よりぐんと家賃が安かったため、多くのアーティストやクリエイターが移り住んでここのところぐっとおしゃれになったアルバータ・ストリートにもほど近い場所だ。現在はネイサンたちを含め七人がフルタイムで働いている。
「七人は、経理や販売、イベントの担当なども含めた数字。コアは小さく、僕たちと哲学を共有できるフリーランスのライターやフォトグラファーと有機的に協力関係を広げながら毎号を作っているんだ。人が人を呼んでくるし、読者からの自薦も受け付ける。そんな風にして、関わるスタッフの輪は段々と大きくなってきた」
さらに、この輪を育てるのに一役かっているのが、毎月、全米のあらゆる都市で開く“KINFOLK DINNER”だ。これにしたって盛大なパーティーなどにはせず、あくまで無理はしないのが彼ららしさだ──地元の小さな会社などと協力しながらロケーションを見つけ、会が終わる頃には全員の顔と名前を覚えられる程度の人数だけを招いて、ディナーを楽しむ。そうやって親密なひとときを持った人々は、熱心な読者・サポーターであり続けるだろう。ストイックすぎもしないけれど、多くを求めすぎもしない。自然体であり続けても、こんなに豊かな暮らしを見つけられるのだと教えてくれるのが、きっと「KINFOLK」の魅力だ。
六月に書店に並ぶ八号目では、日本が特集される。ネイサンの目に映る日本の良さはどんなものなのだろうか? 新しい視点から、自分たちの暮らしを見直す機会が訪れそうだ。

春を祝う集まり「フラワーポットラック」。花やグリーンを持ち寄って皆でわいわいとブーケや飾りを作った後、食卓を囲む。この春「Community Gathering Series」として25カ所で行われた。

「KINFOLK」www.kinfolkmag.com/
2011年創刊、年4回刊行。今夏の発売号は日本特集。